仏坐像(ぶつざぞう)
アフガニスタンのハッダ遺跡群から出土したと考えられる、ストゥッコ *1(漆喰(しっくい)の一種)製の仏像です。坐像 *2は大衣(だいえ)*3 を通肩(つうけん)*4 にまとい、台座上に結跏趺坐(けっかふざ) *5した姿を表現しています。半眼(はんがん)に開いて下方を見つめ、静かに瞑想(めいそう)している様子が伝わってきます。頭髪がやや大ぶりの螺髪(らほつ) *6で表されている点、背中側の衣(ころも)も省略されずに表現されている点も大きな特徴です。
*1 左官材料。消石灰に大理石粉、粘土粉、砂、顔料などを混入して練ったもので、細工をするときは軟らかく、硬化すると耐久性をもつ。セメント・モルタルもその一種。
*2 座っている姿の像。
*3 九条ないし二十五条よりなる袈裟のこと。僧が着る3種の袈裟の一つ。
*4 僧の袈裟の着方で、両肩を覆って着ること。
*5 両脚を組んですわる方法。両脚を組み、左右の足の甲を反対側のももの上にのせてあぐらをかくこと。
*6 仏の頭髪の縮れて巻き毛になっているもの。